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| 鳴 き 砂 九九鳴き浜 足で踏むときゅきゅと鳴る砂浜がある。これは日本のみならず世界のあちこちで知られている。砂浜を歩くと、どこでも鳴きそうに思うが、そうではない。 きれいな砂浜や砂山でしか九九と鳴かない。 砂漠で風が吹くと砂丘の砂がこぼれ、それにつれて、きゅきゅと鳴き、荒涼たる砂漠が不思議な音楽で包まれる。らくだにまたがって旅した旅行者を不思議な世界に導くという。 鳴き砂はほとんど石英粒子からなり、ルーペで見れば研磨されて丸くなっている。 砂といっても火山岩起源の砂もあり、花崗岩起源の砂もある。火山起源の砂でも花崗岩起源の砂でも、どちらの砂でもよく鳴く。 花崗岩は,主に石英と長石や雲母などからなる.このうち,長石は風化しやすくて粘土に変わる・次は雲母であり,最も風化に強いのは石英である・花崗岩が風化してぼろぼろになると,俗に「まさ」と呼ばれる“砂,,になる・「まさ」は花崗岩地帯ならば,どこにでも見られるもので,雨水で流れ出すと,粘土など細かい鉱物は早く流れ去り,後には石英と少量の黒雲母が残る.そのような花崗岩地帯の海岸の波打ぎわでは,ガラスのような無色透明な石英の砂の上を黒雲母片が波にゆらゆらと揺れる. 花崗岩がその場で粘土化すると,粘土の中に蛙目(がいろめ)のように石英粒子が光っているので,「がいろめ石英」やその石英を含む粘土を「がいろめ粘土」という。 海岸が隆起したり,気温が下がって氷河が成長すると海岸線は後退し,細かい石英の砂丘が海岸地帯に幅広くできる.さらに,日本列島は大規模に幾度も上昇下降を繰り返しており,かつて海岸であったところが隆起して陸地となる.したがって,現在の海岸線の砂と全く変わらない厚い砂の層が,内陸深くにも見られる。さて,歩くときゅきゅと鳴く砂浜は九九鳴き浜,十八嶋き浜,十八成浜,あるいは単に鳴き浜と呼ばれてきた.また外国ではミュジカル・サンドやブーミング・サンド(唸砂)などといわれている.九+九=十八(くぐ)とは面白い.私の住む宮城県にも何か所か知られている.石英粒子が丸みを持ち,その大きさが揃っていること,混入物のないことなどが,よく鳴く条件であるらしい.したがって,波によく洗われて,混入物が取り去られることが必要条件である.大勢の人々が歩きまわった砂浜は鳴かない. なぜ,砂は鳴くのだろうか.鳴き砂の研究者三輪茂雄教授(同志社大)の「鳴き砂幻想」や原著を引用させて頂くと,粒子摩擦説,充填モデル説,表面被膜説,空気噴出説,バグナルド説など,昔からいろいろな説があるが,未だ成因はわかっていない.誰でもが考えるものに,砂と砂の摩擦がある.摩擦はどのような砂でも起こるから,砂が鳴くには何らかの要素が加わらねばならない. 大きさの揃った粒子の間には,大きさの揃った空隙がある.摩擦音が空隙の空気で干渉して,音が大きくなると考えられる.しかし,三輪氏の実験では,真空中や液体中でも砂は鳴く.砂を皿に入れて真空中に置き,これを棒でつつくと,皿と棒を伝わって音が出る.粘性の小さな液体に入れた砂も鳴く. 金沢国夫教授(金沢工大)らの最近の調査によれば,鳴き砂は福岡県から石川県の日本海側,および宮城県に多い.小さな浜であるので,簡単な地図で探すことは難しい。この鳴き砂の分布はかつて三輪教授が調査した結果と概ね一致している。 鳴き砂は,石川県より西の日本海岸と宮城県に多い.太平洋海岸に少ないのは興味深い. |
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